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人口増加を雇用創出につなげるために 適切なルールづくりを

人口増加を雇用創出につなげるために 適切なルールづくりを キルギス共和国で伝統的な菓子を作る町のパン屋 写真:Djenno Bacvic / 世界銀行グループ

世界はこれからの10年間、歴史的な人口の急増と財政の逼迫という、二つの厳しい現実に直面することになるでしょう。

途上国では今後10~15年の間に、10億人を超える若者が労働年齢に達するとされています。若者たちが収入を得て安定した生活を築き、希望をもって生きていけることは、当然のあるべき姿です。そのためにも仕事を持つことが大前提となります。

しかし、雇用供給は今後も需要に到底追いつかない見通しであり、その不足はますます深刻化しています。そこに紛争、自然災害、経済状況の激しい変動といったさまざまなショックが重なり、状況は悪化の一途を辿っています。

そのような中、世界各国の政府は限られた財政の下で舵取りを迫られています。債務残高は膨らみ、成長は不均等。公的な支出圧力は高まり続けています。このように人口動態の課題がかつてないほどの規模に達する一方、公的資源は乏しいのが現状です。

この課題は、各国が単独で解決できる範囲を超えています。また、公的支出を軸とする従来の開発モデルは、これほどの規模の課題の前では十分に通用しません。

ひとつの国が大規模な雇用創出に成功すれば、経済成長、サプライチェーンの強靭化、安定性の向上といった恩恵が、国境を越えて波及していきます。その逆もしかりです。もし失敗すれば、世界的な成長の鈍化、移民圧力の高まり、脆弱性の増大といった影響が同じように広がっていくことになります。

いま我々が問うべきは、足元の変化が世界の経済地図をどう塗り替えていくかではありません。人口増加の圧力を機会として生かすべく、いかに皆で行動していけるかが問われています。

世界銀行グループはこれまで、開発は成果によって評価されなければならないというシンプルな考えを軸に活動してきました。言い換えれば、どれほどの雇用が創出され、所得が向上し、貧困が緩和され、機会が広がったかが見られてきました。

そうした考え方にもとづく我々の取組みは、三つの柱に支えられています。第一に、物的・人的両方のインフラへの投資。第二に、企業の活動と成長を促進するビジネス環境の創出。第三に、民間資本の大規模な動員です。

これらは互いに補強し合う関係にあります。しかし、第二の柱である適切な環境整備なくしては、公共投資も民間資本も雇用の創出にはつながりません。

こうした観点から、開発委員会は春季会合において、企業の設立、運営、規模拡大、そして採用につながる政策や規制のあり方に重きを置いています。混乱が続く時期であっても、このテーマに注視し続けることが重要です。

ここで言う「ビジネスを後押しする環境」とは、抽象的なものではなく、きわめて具体的なものです。

まずは、明確なルールが挙げられます。ほかにも、予測可能な規制、契約の確実な履行、適時に取得可能な許認可、簡明な税制、そして資本の生産的配分を支える金融システムがあります。

こうした条件が揃ったとき、規模大小問わず、企業は投資に踏み切ります。逆に揃わなければ、資本は眠ったままとなります。

この傾向は、地域や所得水準の違いを超えて見られてきました。規制の不確実性は成長を妨げるだけでなく、投資を阻む致命的な要因となってきました。

これが重要なのは、雇用の大部分が民間セクターによって生み出されるからです。政府は基盤を整えることはできますが、実際に雇用を創出するのは起業家や企業です。

適切なビジネス環境があってこそ、道路、電力、人材といった投入要素が企業成長と人々の雇用へとつながっていきます。もたらされる恩恵は何倍にもなって返ってくるのです。

いま必要なのは机上の議論ではなく、地に足のついた具体的な改革です。そして、何が必要かは多くの場合すでに明らかになっています。

まず、起業家零細企業にとっては、登記や他行政手続きなどの簡素化、そして必要最低限以上の資金を確保できる金融手段へのアクセスが必要です。

中小企業成長段階にあるビジネスにとっては、許認可取得の簡素化、予測可能な課税、明確な土地の権利、そして運転資金へのアクセスが求められてきます。

より規模の大きな企業にとっては、開かれた市場を支える競争枠組み、透明性の高い調達システム、グローバルなバリューチェーンへの統合を支える貿易・通関プロセスが必要です。

これまでいくつか挙げてきましたが、何よりも重要なのは、マクロ経済環境の安定、予測可能な規制環境、そして一貫して機能する制度という基本的な条件です。これらが欠ければ、企業は小規模・インフォーマルなものに留まらざるを得なく、大規模な雇用創出も実現しません。

ここから得られる教訓はシンプルです。予測可能性があってこそ、投資は生まれることです。

例えばスウェーデンの経験からわかるのは、競争力の源泉は資本にとどまらず、関連制度の質にもあるということです。明確なルール、効率的な行政、そして不必要な障壁を取り除きつつ、すべての人に機会を平等に開くビジネス環境が、成長を支える柱となります。

スウェーデンでは近年、規制の簡素化や許認可プロセスの改善が進められています。その根底には、政府が不確実性を減らし、制度の運用を改善すれば、企業は投資し、規模を拡大し、人を雇いやすくなるという考えがあります。

これはスウェーデンに限らず多くの国に通じる重要な教訓です。多くの途上国で制限となっているのは、金融アクセス不足だけではありません。規制の確実性と実施能力があってこそ、資金は投資に向かい、投資は雇用を生みますが、問題はその点が欠けていることにもあります。

世界銀行グループは、こうした改革の拡大に向けて、体系的に取り組んでいます。

我々は何が成果を生み、何が生まないかについて、数十年にわたる知見を、世界銀行グループ内のナレッジバンクに蓄積してきました。新たな国別支援モデルを通じて、状況の診断結果、政策改革、資金調達を結びつけ、雇用創出と貧困削減に焦点を当てた一貫性のあるプログラムへとつなげています。

また、「ビジネス環境」や「女性・ビジネス・法律」といったツールを通じて、成長や参加を妨げる規制上の不備を特定するとともに、各国と協力し、女性の経済的機会を制限する障壁の解消にも取り組んでいます。

この改革は、一回で終わるようなものではありません。企業が長期にわたって成長できる環境を築き上げていくことが求められています。

今後の人口増加には、公的予算だけでは対応しきれません。断片的なアプローチで乗り切れるものでもありません。

相互利益に根ざした結果重視のパートナーシップが求められています。

そこでは各国のインフラ整備への支援が挙げられます。ほかにも、企業が繁栄できる規制環境の構築を支援することも求められています。

限られた公共資源を活用してリスクを低減し、民間投資を誘引することも必要です。そして、成功の尺度は掲げた目標の規模ではなく、実際に生まれた雇用の数で測られるべきです。

これらを適切に進めることができれば、今後の10年は機会が広がる時代となりえます。若者は生産的な仕事を手にし、経済は成長し、社会はより安定したものとなるでしょう。

しかし実現できなければ、その影響は一国の域を超え、はるかに広い範囲に及ぶことになります。

人口増加という圧力を共通の繁栄へとつなげていくには、規律ある取組み、強固なパートナーシップ、そしてリーダーシップが必要です。

我々は今すぐ着手しなければなりません。そこには協力が不可欠です。

Devex掲載記事より転載


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